内容
臨床獣医師はマニュアルどおりに治療をこなすのではなく、多面的な視点をもたなければならず、「そもそもこの病気に治療は必要か?」「治療しないとどうなるか?」「なぜその薬を選択するのか?」「その治療によってどのような利益が得られるのか?」「不利益は生じないか?」「最終的に患者の幸せにつながるのか?」という考えを常にもちながら、治療を選択しなければならない。本書は、治療を進める際に不確実性をどう取り扱い、どのように意思決定を行うのかといった「治療推論」に焦点を当て、実際の治療の流れにあわせて解説。概念図や表を多用しながら、治療に関する意思決定や実行、治療効果の評価・副作用の判定・モニタリング、EBM(evidence-based medicine)の実践の仕方などを明瞭に解説し、現代の臨床獣医師が取り入れるべき思考法を紹介。本書の内容を日常診療に取り入れることで、普段当たり前のように行っている治療を見直す機会になり、経験のない治療を実践に移す際の手引きにもなる。診療現場に出始めてから日の浅い獣医師、後進の指導にあたる獣医師におすすめの一冊。
※姉妹本『ここからはじめる犬と猫の臨床診断学』とあわせて読むことで、「臨床推論」のスキルを診断学と治療学の両面から理解できます。
「臨床治療学」を学ぶことで……
●治療の目的や目標、注意点が明らかになる
●理論を踏まえ、何度も実践することで、より良い治療が行える
●治療内容について患者の家族との共通理解が深まる
●「何となく」が整理・解消され、内省できる
目次
Chapter1 適切な治療のための基礎知識患者に適した診断と治療のバランスを考えよう
治療のプロセスと目的を明確にしよう
治療の種類を知ろう
Chapter2 正しい予測をするために
なぜ予測が必要か
予測に必要な情報と判断を歪めるバイアス
Chapter3 治療効果と安全性
治療の効果と安全性の捉え方
治療の情報を受け止める際の注意点
治療に関する情報源
Chapter4 治療に関する意思決定
意思決定へのアプローチ法
臨床倫理の4分割法~意思決定の要因を整理する~
意思決定を実践する
Chapter5 治療を実行するために
治療計画を立てる
薬の上手な使い方「10カ条」
Chapter6 治療の省察
治療効果を評価する
副作用を判定する
モニタリング
Chapter7 EBMの5つのステップ
EBMとは何か?
ステップ0「分からないことの自覚」
ステップ1「患者の問題の定式化」
ステップ2「問題についての情報収集:どんな情報を探すか」
ステップ2「問題についての情報収集:どうやって情報収集するか」
ステップ3「情報の吟味」
ステップ4「臨床判断と実践」
ステップ5「振り返り」
著:石川 勇一
監修:長谷川 大輔
B5判変型 192頁
ISBN978-4-89531-776-4
2021年12月発行
定価:本体7,000円(税別)
監修:長谷川 大輔
B5判変型 192頁
ISBN978-4-89531-776-4
2021年12月発行
定価:本体7,000円(税別)