内容
カラスの魅力にとりつかれ、翻弄されて25年。『カラス学のすすめ』の著者の果てしなきカラス研究!
日本屈指のカラス博士が、科学と感性の両面からカラスのおもしろさを語りつくす。
『カラス学のすすめ』で取り上げた、カラスの体についてさらに深く掘り下げ、その高い知能についても次々と明らかになっている最新の知見を紹介。「頭がよくて、いたずら者。そして、ちょっと困ったお隣さん」の体と心の不思議にせまる。
●“ブト"と“ボソ"は結構違う?
●硬い嘴は意外と敏感?
●嘴のパワーはどれくらい?
●視覚の長所と弱点は?
●味覚は発達してる?
●嘴毛(鼻毛)は加速度センサー?
●嗅覚が弱い理由とは?
●喜怒哀楽……心の感覚は?
●ストレスを感じたら?
●ずば抜けた知能の源は?
●どこまで賢い?
●1日の生活と1年の流れは?
●家族や群れで何してる?
●夫婦や親子の愛情は?
●どんな感染症にかかってる?
カラスの気になる不思議について、裸眼、双眼鏡、顕微鏡、そして心眼などさまざまな視点で大解剖。
読めばもっとカラスが好きになる!
目次
第1章 カラスの嘴1.嘴のイメージ
2.嘴の働きを考えてみる
嘴の形の進化
3.嘴の大きさ
ハシブトガラスとハシボソガラスの嘴の大きさ
4.嘴にみる日常
巣づくり/優しさの表現/ヒナへの餌やり/巣の掃除
5.嘴の解剖
観察するための作業や工夫/嘴のつくり/表皮の微細構造物
6.嘴のパワーの解明
嘴のパワーを探る工夫/嘴のパワー測定結果/とある事件
7.道具を使うカラスの嘴
直線的で咬み合わせがよいカレドニアガラスの嘴
第2章 カラスの視覚
1.カラスがもたらす問題と視覚の関係
2.解剖学的アプローチ
神経節細胞/中心窩・側頭窩/視細胞/油球と光波長/紫外線視
3.行動学的アプローチ
予備実験/いよいよ実験
4.学習効果に影響する波長
第3章 カラスの味覚
1.味蕾探しの研究
2.見た目の舌
顕微鏡で見る舌
3.口腔を覗く
上顎/下顎/舌根/味蕾の数・場所
第4章 カラスの嘴毛の感覚
1.カラスの嘴毛
2.嘴毛の生え方
3.嘴毛の役割
第5章 カラスの嗅覚
1.においに敏感? 鈍感?
2.鼻腔を覗く
3.嗅神経・嗅球
カラスの小さな嗅球の構造
第6章 カラスの聴覚・平衡感覚
1.耳のつくりと可聴域
耳のつくり/可聴域
2.半規管と平衡感覚
第7章 カラスの高次脳機能
1.心の感覚
死を感じるのか/喜び・悲しみ/慈しみ/ストレス
2.カラスの仕草が気になる理由
3.脳のつくり
重さ/外観/大脳の中を覗いてみる/カラスの脳解剖
4.知的行動・記憶・学習
顔写真の弁別実験/疑似概念実験/弁別能力に影響を与える色や空間/数量の識別ができるのか?/記憶の長さ/観察学習
5.道具を使う洞察力
道具をつくる・使う・覚える/実験の詳細/ハワイガラスの台頭
第8章 カラスの生活史
1.命の時間
カラスの寿命は?
2.日の長さが短いころの一日の時間
厳しい季節の餌探し/寒くても水浴びはやめない
3.徐々に日が長くなるころの時間
つがいの形成と巣づくりの始まり
4.巣づくりの時間
巣の構造/営巣場所/繁殖に伴う体内の劇的な変化
5.新たな命を育む時間
抱卵・孵化・巣立ち
6.家族団らんの巣の時間
親ガラスの餌運び/ヒナと巣を守る親ガラス
7.危機の時間
親ガラスの懸命な子育て/巣落ちしたヒナを見かけたら
8.養育の時間
自然界で生き抜く力を育む/鳥の巣は「家」ではない
9.集団生活の時間
カラスが群れる意味/ミヤマガラスの飛来
10.独身の気ままな時間
11.変わった食事の時間
自然界の道路安全管理者/カラスが遭難者の救助に貢献?
12.夜遊びの時間
第9章 カラスの病気
1.寄生虫
目に見える寄生虫/目に見えない住血寄生虫(マラリア)
2.大腸菌などの細菌
3.鳥インフルエンザウイルス
4.その他のウイルス
ニューカッスル病ウイルス/西ナイルウイルス
コラム
1.鳥の眼には櫛がある?
2.カラスは辛さを感じない
3.ストレスと学習
4.子ガラスの眼は特別澄んでいる
著:杉田 昭栄
B6判 264頁
ISBN978-4-89531-593-7
2021年6月発行
定価:本体1,800円(税別)
B6判 264頁
ISBN978-4-89531-593-7
2021年6月発行
定価:本体1,800円(税別)
体と心の不思議にせまる