特集
Feature Article!知る・備えるSFTS
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年に特定されたマダニ媒介性のウイルス性疾患です。人では6~14日間の潜伏期間の後、発熱、頭痛、全身倦怠感や消化器症状、白血球や血小板減少などがみられます。意識障害を伴うほど重症化する場合もあり、発症後の死亡率は約30%にも上ります。西日本での発生が多く、九州~関西、北陸地方で確認されていましたが、最近では静岡や千葉でも人での感染が報告されています。発症した場合には対症療法が主体となり、現在までに有効な治療法は確立されていません。またSFTSは人以外の多くの動物にも感染します。多くは不顕性感染ですが、犬、猫、チーターでは症状を発症することが報告されています。中でも猫は発症後の経過が早く、死亡率は約60%にも及びます。さらに発症動物の体液中には多くのSFTSウイルスが存在し、人を含む他の動物への感染源となりえます。そのため臨床家には、発症動物の治療という観点だけではなく、飼い主や病院スタッフを守るためにも、人獣共通感染症としてのSFTSについて理解を深めておく必要があります。本特集ではSFTSの発生状況や病態、疑わしい症例が来院した際の対処法および実際の感染防御の取り組みと症例についてご解説いただきました。
▽SFTS ~分布と感染経路~
松鵜 彩
▽SFTSへの対処法 ~疑われる症例が来院したら~
松鵜 彩
▽感染防御の取り組みと猫のSFTS症例報告
川畑貴裕
■臨床現場で活かす! 基礎から学び直す細胞診
第20回 「骨・関節」
田邊美加、監修:内田和幸
■診断に活かす 心エコー図検査の第一歩
第14回 「三尖弁逆流症」
望月庸平、監修:佐藤貴紀
■消化管内視鏡の適応を知る! 消化器疾患症例集
第21回 「毛球による食道炎で食道狭窄を起こした猫の1例」
中島 亘
■私の心に残るあの症例
第18回 「トルバプタンを使用した難治性の粘液腫様変性性僧帽弁疾患の犬の1例」
大菅辰幸
■こんな症例に出会ったら? とある診察室を覗いて学ぶアプローチ法
第54回 「なぜか猫の心拍数がゆっくりです…」
侭田和也、高野裕史
■デグーの医学
第4回 「泌尿器・生殖器・繁殖疾患」
霍野晋吉
■ビジュアルで理解するフェレットの外科
第8回 「インスリノーマ Part1:概要~内科的治療」
戸崎和成
■小動物臨床のクリニカルパール集
第7回 「感染症」
茂木朋貴、監修:石川勇一
■獣医臨床論文のビジュアルアブストラクト
No.09 「ホルネル症候群の犬にMRI検査などの高次画像診断を行うと何か分かるか?」
石川勇一
■症例報告
「拘束型心筋症の急性期治療におけるピモベンダン注射薬投与および亜急性期治療における内服薬増量が効果的であった猫の1例」
浅沼大祐
■症例報告
「イトラコナゾール(イトラベット®錠)の服用で奏功した皮膚糸状菌症の高齢猫の1例」
今枝奈緒美、監修:江角真梨子
■Close Up!
「ネココロナウイルス(FCoV)および猫伝染性腹膜炎(FIP)の予防・診断・治療」
翻訳・編集:宮本三郎、監修:高野友美
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