内容

子牛の獣医療に関する情報を網羅した
産業動物獣医療関係者必携の一冊。

出生後から育成期における子牛の疾病に焦点を絞り
徹底解説した子牛の総合医学書決定版！

草食反芻動物という特異な解剖学的・生理学的特徴を有する牛には、他の単胃動物と同様の疾患に加え、それらの特徴に対応した異常病態が発現する。さらに、出生段階ではそれらの特徴はまだ機能しておらず、育成段階においてはその特徴的機能へ移行しつつある状態にある。本書は、子牛の様々な疾病を臓器・部位別に整理し、最新の知見に基づいて各疾病の病態から治療・予防までをわかりやすく丁寧に解説。臨床現場で必要となる各種検査や処置の方法なども詳しく説明した産業動物獣医療に携わる方必携の一冊。

[本書のポイント]

◆子牛の疾病を網羅！
各疾病について順序立ててわかりやすく解説

疾病ごとに、背景、症状、病態、診断、治療・予防の5つの項目に分けて詳しく解説。子牛の疾病を中心に掲載しているものの、成牛の疾病についても触れており、幅広い情報を提供。各疾患に対応したカラーページでは、明瞭な写真を豊富に掲載し、理解に役立つ。


◆臨床現場で必須の検査や処置についても詳しく解説！

臓器別の疾病の解説だけではなく、子牛の病態診断に必要な検査・診断法や検体の採取・処置に必要となる保定方法、また特に子牛に対して必要とされる処置の手法の概要など、臨床現場で役立つ技術について解説。


◆薬剤一覧など、便利な付録が充実

主要な薬剤の投与量などをリスト化した便利な「薬剤一覧」のほか、出生後の各種血液検査における値の変化などを整理した「各種血液検査」、「略語一覧」を収録。


◆総勢64名の豪華執筆陣！

臨床現場の最前線で活躍している経験豊富な臨床獣医師、大学・研究機関の専門家による、64名の「知」を集結。

目次

カラー口絵

第１章　診療に関する総論

第１節 問診
第２節 身体検査
第３節 臨床検査
第４節 電気生理学的検査
第５節 画像診断
第６節 各種診断のための材料採取方法
第７節 保定・鎮静・麻酔法
第８節 特別な検査と処置


第２章　処置の概要

第１節 蘇生法
第２節 経口・経鼻投与法
第３節 胃洗浄法
第４節 吸入療法
第５節 注射法
第６節 輸液療法の基本
第７節 抗菌薬使用の基本
第８節 健胃整腸剤の種類と特性および用途
第９節 プロバイオテックス・プレバイオテックスの種類と特性および用途
第10節 その他の外科疾患の処置


第３章　疫学

第１節 疫学と診療
第２節 家畜衛生経済学による疾患の評価
第３節 飼養衛生管理の要点


第４章　循環器疾患

　１．心不全
　２．肺高血圧症
　３．心原性ショック／突然死
　４．弁膜疾患
　５．心内膜炎
　６．創傷性心膜炎
　７．心筋疾患
　８．心臓タンポナーデ
　９．肺性心
　10．先天性心疾患
　11．不整脈
　12．再灌流症候群
　13．過粘稠度症候群
　14．血管炎
　15．熱射病


第５章　呼吸器疾患

第１節 呼吸器疾患の病態生理学
第２節 呼吸器の解剖・病理
第３節 上部気道の疾患
　１．上部気道感染症
　２．咽頭炎／喉頭炎
　３．喉頭水腫
　４．壊死性喉頭炎
　５．クルップ性喉頭炎
第４節 下部気道の疾患
　１．気管および気管支炎
　２．気管狭窄症／気管支狭窄症
　３．気管支拡張症
　４．気管虚脱
　５．肺水腫
　６．肺充血
　７．肺気腫
　８．肺炎
　９．胸膜炎／胸膜性肺炎
第５節 呼吸器感染症
　１．牛寄生虫性肺炎
　２．牛伝染性鼻気管炎
　３．牛RSウイルス病
　４．牛のパラインフルエンザ
　５．牛流行熱
　６．牛ライノウイルス病
　７．牛アデノウイルス病


第６章　消化器疾患

第１節 子牛の消化器系の生体機構と特徴
第２節 消化器系の生理学
第３節 消化器疾患における病態生理学
第４節 消化器の疾患
　１．口内炎
　２．喉頭炎
　３．第一胃鼓脹症
　４．第一胃パラケラトーシス／第一胃炎
　５．ルミナー・ドリンカー
　６．第四胃潰瘍
　７．第四胃鼓脹症
　８．腸捻転／腸重積
　９．腹膜炎
　10．細菌性腸炎
　11．ウイルス性腸炎
　12．寄生虫性胃腸炎
　13．母乳性白痢
　14．直腸脱
　15．肝膿瘍


第７章　泌尿・生殖器疾患

第１節 腎臓の異常
　１．腎炎
　２．ネフローゼ症候群
　３．腎アミロイド症
　４．牛クローディン-16欠損症
　５．腎不全
第２節 膀胱の異常
　膀胱炎
第３節　尿路の異常
　１．尿路感染症
　２．尿路結石症
　３．尿路閉塞症
　４．異所性尿管
第４節　生殖器の異常
　潜在精巣


第８章　血液疾患

第１節 赤血球の異常
　１．溶血性貧血
　（１）タイレリア症（小型ピロプラズマ病）
　（２）バベシア症
　（３）アナプラズマ病
　（４）ヘモプラズマ病（エペリスロゾーン症）
　（５）免疫介在性溶血性貧血
　２．再生不良性貧血
　３．腎性貧血
　４．赤血球増加症
第２節 白血球の異常
　牛白血病
　１．急性白血病
　２．リンパ腫
第３節 血小板・血液凝固系の異常
　播種性血管内凝固症候群


第９章　内分泌疾患

第１節 下垂体機能異常
　１．下垂体性矮小症
　２．副腎皮質機能亢進症
　３．尿崩症
第２節 甲状腺機能異常
　１．甲状腺機能亢進症
　２．甲状腺機能低下症
　３．ユーサイロイドシック症候群
第３節 上皮小体機能亢進症
　１．原発性上皮小体機能亢進症
　２．続発性上皮小体機能亢進症
第４節　その他
　糖尿病


第10章　遺伝性疾患

　１．牛バンド３欠損症
　２．牛クローディン-16欠損症（尿細管異形成症）
　３．止血異常
　４．チェディアック・ヒガシ症候群
　５．キサンチン尿症2型（モリブデン補酵素欠損症）
　６．眼球形成異常症（小眼球症，先天性多重性眼球形成異常）
　７．下顎短小・腎低形成症
　８．軟骨異形成性矮小体躯症
　９．牛白血球粘着不全症
　10．複合脊椎形成不全症
　11．合指症（単蹄）
　12．ブラキスパイナ
　13．エーラス・ダンロス症候群
　14．マルファン症候群様発育異常
　15．リソゾーム蓄積病
　16．三枚肩（前肢帯筋異常）
　17．牛の拡張型心筋症
　18．その他


第11章　代謝性疾患

　１．くる病／骨軟化症
　２．低マグネシウム（Mg）血症テタニー
　３．脂肪壊死症
　４．アミロイドーシス
　５．酸塩基平衡異常


第12章　感染症

　１．牛伝染性角膜結膜炎
　２．破傷風
　３．悪性水腫
　４．気腫疽
　５．ヒストフィルス・ソムニ感染症
　６．牛ウイルス性下痢・粘膜病（牛ウイルス性下痢ウイルス感染症）
　７．アカバネ病
　８．チュウザン病
　９．イバラキ病
　10．アイノウイルス感染症
　11．アクチノバチルス症
　12．放線菌症


第13章　中毒・欠乏症および過剰症

第１節 植物中毒
　１．ツツジ科植物
　２．アブラナ科植物
　３．強心配糖体を含む植物
　４．ワラビ
　５．植物による光線過敏症
　６．傷害サツマイモ中毒
　７．スイートクローバー病
　８．その他注意すべき植物
第２節 硝酸塩中毒
第３節 マイコトキシン中毒
　１．アフラトキシン
　２．トリコテセン
　３．ゼアラレノン
　４．オクラトキシンA
　５．フモニシン
　６．パツリン
　７．スポリデスミン
第４節　エンドファイト中毒
第５節　一年生ライグラス中毒
第６節　薬剤中毒および農薬の中毒・残留
　１．サルファ剤
　２．イオノフォア抗菌薬
　３．動物用医薬品による副作用
　４．有機リン系農薬
　５．カーバメート系農薬
　６．ピレスロイド
　７．有機フッ素系農薬
　８．有機塩素系農薬
　９．抗凝固剤系殺鼠剤
　10．パラコート／ジクワット
　11．石灰窒素
　12．畜産物への各種薬剤および農薬の残留
第７節 食塩中毒・水中毒
　１．食塩中毒
　２．水中毒
第８節 金属中毒・欠乏
　１．鉛中毒
　２．銅中毒
　３．セレン欠乏
　４．鉄欠乏
　５．銅欠乏
　６．亜鉛欠乏
　７．ヨウ素欠乏
　８．コバルト欠乏
　９．マンガン欠乏
第９節 ビタミン欠乏症・過剰症
　１．チアミン欠乏
　２．ビタミンA欠乏
　３．ビタミンE欠乏
　４．ビタミンA過剰症


第14章　新生子疾患

　１．胎子異常
　２．奇形
　３．臍ヘルニアおよび臍帯遺残構造感染症
　４．臍炎
　５．尿膜管遺残
　６．胎便停滞
　７．虚弱子牛症候群


第15章　中枢神経・感覚器の疾患

第１節 中枢神経疾患
　１．リステリア症
　２．ネオスポラ症
　３．水頭症
　４．牛へルペスウイルス５型感染症
　５．クラミジア病
　６．ヒストフィルス・ソムニ感染症
第２節 眼疾患
　１．眼瞼炎
　２．眼瞼内反症
　３．涙嚢炎
　４．結膜炎
　５．角膜炎
　６．ぶどう膜炎
　７．緑内障
　８．白内障
　９．網膜剥離
　10．皮質盲
第３節 耳疾患
　１．外耳炎
　２．中耳炎
　３．内耳炎


第16章　運動器疾患

　１．肢骨折
　２．骨膜炎／骨髄炎／骨炎
　３．脱臼
　４．関節疾患
　５．突球
　６．痙攣性不全麻痺


第17章　皮膚・体壁の疾患

　１．シラミ症　
　２．皮膚糸状菌症　
　３．疥癬症　
　４．アレルギー性皮膚炎／蕁麻疹
　５．光線過敏症　
　６．クローバー病
　７．パラフィラリア症
　８．牛バエ幼虫症
　９．ワヒ・コセ病（象皮病）
　10．ウシ毛包虫症
　11．デルマトフィルス症


付録1　各種血液検査
付録2　薬剤一覧
付録3　略語一覧
索引